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剣道の稽古を行う前にも後にも、黙想を行います。
で、ここで質問です。
黙想って何でしょう?
まずそれを知るために、黙想を行うときの姿を思い浮かべてみましょう。
正座をしたへその前で手のひらを上に向けた輪を作り、軽く目を閉じますね。
このとき、へその前で組んだ手の形、これが意味するものは魂です。
では魂の形って、どんな形ですか?
実はみなさん、一度は必ず目にしているはずです。
これ、見たことありませんか?
↑武道館の屋根に輝く擬宝珠(ぎぼし)
もっと身近なところでは、神社やお寺にある石灯籠のてっぺんにも・・・
見たこと、ありますよね?
怪談などで出てくる人魂の形も、同じようなたまねぎ型です。
そう、黙想のときにへその前で組む手の形は、このたまねぎのような形になっていなければいけません。
つまり、体の中心に魂を置くことで自分の精神を集中し、自我を高めることを目的としているのです。
手の形が崩れていては、それは魂の形が崩れていることを意味します。
手はちゃんと「たまねぎの形」で組むように、心がけて下さい。
さて、剣道袴の折り目が示すものはしっかりと理解していただけたでしょうか。
実はここからが本題です。
袴を身に付けた者=五常、忠・孝を兼ね備えている
からこそ、袴を身に付けることを許されています。
が、普段の稽古をちょっと思い返してみて下さい。
稽古の相手に、楽な相手を選んでいませんか?
強い相手、厳しい先生と稽古をするのはつらく、苦しいものです。しかし相手は君を強く、立派にしようと思うからこそ、そのようにしています。
君を思う相手の気持ちから逃げているようでは、己に勝っているとは言えません。
道場(実際は体育館ですけれど)へ入る際、きちんと礼をしていますか?
これはこれからここで稽古を行う子供は当たり前の話。ですが子供だけに限った話ではありません。
今日もいつもと変わりなく、子供が元気に稽古を出来る。
その場を与えてくれている道場に対して礼を尽くすのは、親も同様に礼を尽くすべきでしょう。
切り返しや基本の面打ちが終わった後など、きちんと相手に礼を正していますか?
ついついおざなりになり、お互いに礼もそこそこに次の相手と剣を交えている姿を見かけます。特に年齢が上になるほど、この傾向が強いです。
しかしお互いに自分の稽古の基(もと)に立ってくれた相手です。
普段どれだけ仲が良くても、ちゃんと礼節をわきまえるのが当然ですよね。
休憩時間だからといって、過度にふざけてはいませんか?
稽古の合間の休憩時間や稽古前、稽古後といえど、道場はあくまで稽古をする場所です。決してふざけて遊ぶ場所ではありません。
ましてやふざけてであっても、相手に暴力をふるうようなマネをするのはあってはならない行為です。
今自分のしている行動が、時と場所・場面に適した行動であるのか、良く考え、自分で正しいと判断して行動出来なければ袴を身に付ける資格がありません。
少し厳しいことを書きましたが、道着・袴を身に付けている以上、絶えず袴の折り目が示す精神通り、清く正しく、礼節を重んじる人になって下さい。
剣道の袴には、表に5つ、裏に2つ、腰元から足元にかけてまっすぐな折り目(ヒダ)があります。
これって一体何のため?と不思議に思ったことはありませんか?
実はこの折り目、決して無駄な折り目ではありません。
五常
「ごじょう」と読みます。
大辞林によると、儒教で人が常に守るべき五つの徳目のこと、とあります。
五つの徳目とは
- 仁 己に克ち、他に対するいたわりのある心のこと
- 義 正しい行いを守ること
- 礼 礼儀、礼節を重んじること
- 智 物の道理を知り正しい判断を下すこと
- 信 いつわりのない忠実な誠の心
を表します。
これが袴の表側にある5つのヒダの表す心です。
この五つの徳目を、袴を身につけることによって、順守すると誓っているのです。
忠・孝
「ちゅう」「こう」と読みます。
儒教において、最も重要な徳とされるものです。
それぞれ
- 忠 主君に尽くすまごころのこと
- 孝 親、兄弟を大切にする心のこと
といった意味を持ちます。
・・・というのが定説です。
定説というからにはもちろん、他の説もあったりします。(^^;ゞ
五つのヒダが表しているのは五穣(ごじょう)だ、いや五倫(ごりん)だ、という説、二つのヒダは天地(てんち)、あるいは陰陽(おんみょう)を示している、などなど・・・
ちなみに
五穣
「ごじょう」と読みます。五穣とは、この言葉が生まれた中国で、当時生きるためにもっとも重要であった食物のコメ・ムギ・ヒエ・アワ・マメを指します。
五倫
「ごりん」と読みます。
やはり儒教の教えの中で説かれる徳です。
教似人倫、父子有親、君臣有義、夫婦有別、長幼有序、朋友有信の五つを指します。
天地
神道において万物の祖とされる空と大地を表します。
二本のヒダそれぞれの腰板下の始点を「天」、裾の終点を「地」とする、と言われています。
陰陽
「おんみょう」と読みます。
古代中国の思想では、森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰(いん)と陽(よう)の二つに分類しています。
互いに対立する属性を持った二つの気は、万物の生成消滅をもたらすと考えられており、やはり全ての祖を表す言葉です。
いずれが正しいのか諸説あるため、どれと決めることは出来ません。
しかし、少なくとも武道を学ぶものとして「大切なことを忘れない」という意味を表していることには変わりがありません。
剣道を習う子供を持つお母さん方にお願いです。
洗濯をするとヒダがしわとなり、アイロンがけも一苦労だと思いますが、袴のヒダがまっすぐになるようにしてあげて下さい。
きっとお子さんも袴のヒダと同じように、まっすぐに育ってくれるはずですよ。
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HN: | まるち● |
HP: | 蕨市南剣道クラブ |
性別: | 男性 |
職業: | システムインテグレーター |
自己紹介: | |
小学校二年生より剣道をはじめ、高校時代まで約10年間修練に勤しむ。
その後一時剣の道から遠のくも、自分の子供たちが剣道を始めたことをきっかけに、再度剣士として修行を積むことに。 小学三年生より約四年間、かつて某テレビ局で殺陣の指導をされていた恩師ご指導のもと、神免派二刀をご教授いただく。 現在はIT関連企業に従事し、主にソフトウェアの検証・評価・導入支援を担当。 |